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本紙編集長コラム

未来を賭して

川端暁彦

 G大阪の今野泰幸は、練習場を訪れたファンから「楽しんで下さい」と声をかけられて気付かされるものがあったのだと言う。
 忌まわしい二文字が脳裏をちらつく極限状況である。言うほど簡単ではあるまい。ただ、心理的に追い込まれた状態でプレーしてしまっては、出るはずの力も出ないし、おのずと結果も付いて来ない。最終節を前に降格の可能性を残す4チーム、すなわちC大阪、神戸、G大阪、そして新潟の選手に求められるのが、良い意味での開き直りであることは、間違いない。
 そうした点を踏まえると、勝ち点という覆しようのないディスアドバンテージを背負う17位・新潟と16位・G大阪が一概に不利とは言い難い。たとえば、14位・C大阪は「引き分けでもOK」という最も優位な状況にいる。だが、そうした心理状態が、失点後の恐慌状態を生み出したり、試合終盤の駆け引きでピッチ上の意思統一に難しさを生じさせたりするのは、J1昇格プレーオフを見ても明らかだった。試合前から「勝つしかない」と割り切ることのできる下位チームは、心理面でのアドバンテージがあるとさえ言えるかもしれない。
 今季のJ1最終節には、日程の妙があった。優勝争いは1節前に決着し、残留を争う4クラブの対戦相手は、優勝やACLといった“大きな目標”を持っていないクラブばかりとなった。つまり、ACL出場権をめぐる3位争いと、残留争いがキレイに分離する形となっているわけだ。もちろん最終節で負けていいと思っている選手などいるはずもないが、それでも残留の懸かった4クラブが“気迫負け”するような事態は考えにくい。新潟とG大阪があっさりと敗れ、C大阪や神戸が何事もなかったように“棚ぼた残留”するといった可能性は低い。後半ロスタイムになってもなお展開が見えないような極限の戦いになるに違いない。
 12月1日、J1最終節。残留を争う4クラブが戦う、4つのスタジアム。試合終了の笛と同時に漏れるのは安堵のため息か、悲嘆の涙か。その割合が「2:2」になることだけは、すでに決まっている。


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